結論: 近年、結婚式と葬儀は減少傾向にあり、少子化、価値観の多様化、コロナ禍の影響など、複合的な要因が絡み合っています。ブライダル業界と葬儀業界は、変化に対応すべく多様なサービスを展開していますが、デジタル技術の活用や、個性を尊重する傾向が今後さらに強まるでしょう。私たちは、多様な価値観を理解し、自分らしい選択をすることが重要です。
1. 結婚式減少の背景:少子化だけではない複合的な要因
結婚式の減少は、現代社会における大きな変化の一つです。その背景には、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。
まず、最も大きな要因として、少子化が挙げられます。これは、結婚するカップルの数が減少し、結果として結婚式の需要も減少するという直接的な影響をもたらします。しかし、「2024年のブライダル業界予想」(https://note.com/bridalchiebukuro/n/nb17c704ea57f) によると、2023年上半期の婚姻組数は減少しており、少子化の進行は結婚式減少の大きな要因であると言えるでしょう。
次に、晩婚化・未婚化の進行も重要な要因です。結婚する年齢が上昇するにつれて、結婚式を挙げる年齢も高くなり、経済的な余裕や時間の制約から、結婚式を簡素化したり、挙げない選択をするカップルが増加します。また、生涯未婚を選ぶ人が増えることも、結婚式需要の減少に繋がります。
さらに、多様な価値観の浸透も、結婚式の減少に拍車をかけています。結婚の形が多様化し、従来の形式にとらわれない選択肢が生まれています。例えば、結婚式を挙げずに、事実婚を選択するカップルや、写真撮影のみを行うフォトウェディングを選ぶカップルが増えています。これらの選択肢は、結婚というイベントに対する考え方の変化を反映しており、結婚式という形式にこだわらないという価値観が広がっていることを示唆しています。
最後に、コロナ禍の影響も無視できません。コロナ禍においては、結婚式を延期したり、規模を縮小したりするカップルが相次ぎました。感染リスクを避けるために、大人数での集まりを避ける傾向が強まり、結婚式というイベントに対する考え方にも影響を与えました。
2. 結婚式場の現状:売上は微増も、利益は減少
結婚式場の業績は、結婚式の減少という現実から大きな影響を受けています。
東京商工リサーチの調査によると、「結婚式場」は業績を持ち直すも収益は悪化しており、2025年6月期の売上高はわずかに増えているものの、最終利益は減少しています(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201484_1527.html)。これは、少子化や価値観の多様化により、結婚式の需要が減少していることに加え、コロナ禍の影響でコスト削減を迫られたことなどが原因と考えられます。
利益率の低下は、結婚式場の経営を圧迫し、倒産や休廃業を選ぶ式場も少なくありません。競争激化や、顧客ニーズの変化に対応できない式場は、淘汰される傾向にあります。この状況は、ブライダル業界全体にとって深刻な問題であり、業界構造の変革を迫られています。
3. 葬儀の減少:高齢化と価値観の変化が織りなす複雑な現象
葬儀もまた、減少傾向にあります。その背景には、結婚式と同様に、複数の要因が複雑に絡み合っています。
まず、高齢化と死亡者数の増加です。日本は世界でも有数の高齢化社会であり、死亡者数は年々増加しています。しかし、死亡者数の増加が必ずしも葬儀の増加に繋がらないという点が、この現象の複雑さを物語っています。
次に、家族葬の増加です。近年、親族や親しい間柄だけで行う「家族葬」を選ぶ人が増えています。これは、葬儀に対する価値観の変化を反映しており、故人の意向を尊重し、シンプルな葬儀を希望する人が増えているためです。家族葬の増加は、葬儀の規模を縮小し、費用を抑える傾向を加速させ、葬儀業界に大きな影響を与えています。
葬儀費用の相場はいくら?種類別の平均と突然の葬式代を安く…(https://okane-kenko.jp/media/funeral-costs/)によると、家族葬が増えたことで、葬儀費用の平均は減少傾向にあると報告されています。これは、葬儀の規模縮小が直接的に費用削減に繋がっていることを示唆しています。
さらに、価値観の変化も重要な要素です。従来の形式的な葬儀ではなく、故人の生前の意思を尊重し、シンプルな葬儀を希望する人が増えています。これは、宗教的な価値観の多様化や、個人の価値観を尊重する風潮が強まっていることと関係しています。また、終活という言葉が浸透し、生前に自身の葬儀について考える人が増えたことも、この傾向を後押ししています。
4. 葬儀業界の現状:多様化するニーズへの対応
葬儀業界は、変化する社会情勢と顧客ニーズに対応するために、様々な取り組みを行っています。
まず、サービスの多様化です。家族葬はもちろんのこと、生前相談、オンラインでの葬儀など、多様なニーズに対応したサービスが増加しています。例えば、インターネットを通じて葬儀の様子を配信するオンライン葬儀は、遠方に住む親族や、感染症などの理由で参列できない人々にとって、重要な選択肢となっています。
次に、人手不足という課題への対応です。葬儀業界も人手不足に悩んでおり、「省力化投資促進プラン ―生活関連サービス業(冠婚葬祭業)―」(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/shouryokukatousi/04-2.pdf)によると、省力化のための投資が進められています。例えば、自動搬送システムや、遺影写真のデジタル加工技術など、業務効率化を図るための技術導入が進んでいます。
これらの取り組みは、変化の激しい時代の中で、業界全体が新たなサービスや技術を取り入れ、変化に対応しようと努力していることを示しています。
5. 今後の展望と私たちにできること:多様な選択肢と自己決定
結婚式と葬儀のあり方は、今後も多様化していくでしょう。
デジタル技術の活用は、さらに進むと予想されます。オンラインでのサービスや、VRを活用した葬儀など、デジタル技術は、葬儀のあり方を変革する可能性を秘めています。例えば、VR技術を活用して、故人の思い出の場所を再現する追悼サービスなどが登場するかもしれません。
また、個性を尊重する傾向は、さらに強まるでしょう。故人や新郎新婦の個性を反映した、よりパーソナルな形式が主流になることが予想されます。例えば、テーマウェディングや、故人の趣味や嗜好を反映した葬儀など、多様なニーズに対応したサービスが提供されるようになるでしょう。
私たちにできることは、まず多様な価値観を尊重することです。結婚や葬儀に対する考え方は人それぞれであり、他者の価値観を尊重し、理解することが重要です。
次に、自分らしい選択をすることです。結婚式を挙げるか、挙げないか、どのような形式で葬儀を行うかなど、自分自身の価値観に基づいて、主体的に選択することが重要です。
そして、情報収集を怠らないことです。変化の激しい時代においては、常に新しい情報を収集し、変化に対応していくことが求められます。
まとめ:自分らしい選択と変化への適応
結婚式と葬儀の減少は、現代社会における大きな変化を象徴する現象です。少子化、価値観の多様化、コロナ禍の影響など、様々な要因が複雑に絡み合い、この現象を引き起こしています。
ブライダル業界と葬儀業界は、これらの変化に対応するために、多様なサービスを展開し、デジタル技術の活用や、個性を尊重する傾向を強めています。
私たちにとって大切なのは、多様な価値観を理解し、自分らしい選択をすることです。そして、変化を恐れず、柔軟に対応していくことが求められます。結婚や葬儀のあり方は、今後もさらに多様化していくでしょう。自分自身の価値観を大切にし、自分らしい選択をすることで、人生の節目をより豊かに、そして自分らしく彩ることができるでしょう。
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