【速報】楽天モバイル2025年純損益赤字が示す厳しい現実を分析

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【速報】楽天モバイル2025年純損益赤字が示す厳しい現実を分析

結論:楽天モバイルの「絶好調」は、依然としてグループ全体の財務を圧迫する”重荷”であり、収益化への道のりは遠い

近年、「楽天グループ、ついに黒字化!」「楽天モバイルも絶好調!」といった報道が相次ぎ、多くの人々が楽天モバイルの事業が好転していると感じたかもしれません。しかし、2025年最新の決算データを詳細に分析すると、その「絶好調」という表現は、楽天グループ全体の複雑な財務構造の表面的な一部に過ぎず、楽天モバイル事業そのものは、依然として巨額の赤字を計上し、グループ全体の純損益を圧迫する”重荷”であるという厳しい現実が浮き彫りになります。グループ全体が過去最高売上を記録している一方で、モバイル事業の収益化は依然として遠い道のりであり、その戦略的意図と財務的影響を深く理解することが不可欠です。


😱 「グループ黒字化」の裏で、モバイル事業が抱える”重荷”とは?

まず、楽天グループ全体の財務状況から見ていきましょう。確かに、一時的ながら「黒字化」のニュースはありました。

楽天グループは2月14日、2024年度通期および同第4四半期の決算を発表した。全体としては2019年度以来の通期連結黒字となり、楽天モバイルは2024年12月にEBITDAベースで単月黒字化したという。
引用元: 楽天グループが5期ぶり通期黒字の2024年度通期決算を発表、楽天 …

この引用は、楽天グループが2019年度以来の通期連結黒字を達成したこと、そして楽天モバイルが2024年12月に「EBITDA(イービットディーエー)ベースで単月黒字化した」ことを報じています。EBITDAとは、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略で、税金、利払い、減価償却費、および償却費を控除する前の利益を指します。これは、事業本来の収益力を示す指標として用いられ、特に巨額の設備投資を伴うMNO(移動体通信事業者)事業においては、キャッシュフロー創出力を見る上で重要な指標です。

しかし、EBITDA黒字化は、事業が単月でキャッシュを生み出す力を持ったことを意味する一方で、減価償却費という巨額の非現金費用や、設備投資のための借入金にかかる利払い費用といった、MNO事業特有の重いコストを含んでいません。楽天モバイルは、ゼロから全国規模の基地局ネットワークを構築するという前例のない挑戦をしてきました。このための初期投資は数兆円規模に上り、その投資が減価償却費として毎期計上され、また資金調達に伴う利払いも発生します。

そして、このEBITDA単月黒字化が、通期の純損益にいかに寄与するかという点において、最新のデータは異なる様相を示しています。

楽天グループが13日発表した2025年1~9月期連結決算は、純損益が1512億円の赤字だった。1~9月期の赤字は7年連続で、携帯電話事業が引き続き重荷となった。前年同期より赤字幅はわずかに拡大した。
引用元: 元記事の概要

この引用からは、2025年1月~9月期というより直近の期間において、楽天グループ全体の連結純損益が1512億円もの赤字に陥っていることが明らかになります。純損益(Net Income/Loss)とは、企業の最終的な利益または損失を示す最も包括的な指標であり、売上高から売上原価、販売費および一般管理費、営業外損益、特別損益、そして税金まで、すべての費用を差し引いた後の金額です。

注目すべきは、この赤字が「7年連続」であり、さらに「前年同期より赤字幅はわずかに拡大した」という点です。これは、楽天モバイルが2020年に本格的なMNOサービスを開始して以来、その投資回収と収益化が持続的な課題であり続けていることを如実に示しています。MNO事業の巨額な減価償却費と、市場競争を勝ち抜くためのマーケティング費用、そして初期段階でのローミング費用などが、依然としてグループ全体の純損益を大きく圧迫している構造が理解できます。

📉 契約数「年内1000万」は夢のまた夢?立ちはだかる”高い壁”

MNO事業において、顧客基盤の拡大は収益性向上の絶対条件です。楽天モバイルは、大規模なユーザー獲得目標を掲げてきました。

楽天グループは、11月13日に第3四半期(7月~9月)の決算を発表した。年内の1000万契約突破を目指す楽天モバイルが、どこまで伸びているかが焦点の1つだ
引用元: 楽天モバイルの現状と課題 「年内1000万契約」の高い壁、基地局 …

この「年内1000万契約突破」という目標は、規模の経済を働かせ、一人あたりの設備投資コストを低減し、収益化のブレイクイーブン点に到達するための重要なマイルストーンでした。しかし、その道のりは険しいものでした。

楽天モバイルの回線契約数、23年第1四半期で454万回線に
引用元: 楽天モバイルの回線契約数、23年第1四半期で454万回線に …

2023年第1四半期時点で454万回線だった契約数を、約1年半で1000万回線にまで到達させるには、月あたり約30万回線という驚異的なペースでの純増が必要となります。携帯電話市場が成熟し、大手3キャリアが強固な顧客基盤を持つ中で、新規参入者がこれほどのペースで契約数を伸ばすことは極めて困難です。特に、データ使用量に応じた料金プラン「Rakuten最強プラン」で一定の成功を収めたものの、日本市場における低価格帯の競争は激化しており、新規ユーザー獲得のハードルは高まるばかりです。最新の2025年第3四半期決算発表で具体的な契約数情報が公表されていないことは、この目標達成が極めて厳しい状況にあることを示唆していると言えるでしょう。

📡 ネットワーク品質と基地局増設の”遅れ”が響く現実

顧客満足度と新規契約獲得において、ネットワーク品質は最も重要な要素です。楽天モバイルは、この面でも課題に直面しています。

基地局増設の遅れでネットワークに不安要素も
引用元: 楽天モバイルの現状と課題 「年内1000万契約」の高い壁、基地局 …

MNOとして自社ネットワークを構築する楽天モバイルにとって、基地局の増設はサービスの生命線であり、安定した通信カバレッジと速度を保証する基盤です。基地局増設の遅れは、特に都市部以外のエリアでの「つながらない」「速度が遅い」といったユーザー体験の低下に直結します。これは、新規顧客獲得の機会損失だけでなく、既存顧客の離脱(チャーン)率の上昇にも繋がりかねません。

また、基地局整備には莫大なコストと時間がかかります。当初、楽天モバイルは安価な仮想化されたネットワーク(Open RAN)を活用することでコスト優位性を目指しましたが、それでも先行投資負担は膨大であり、財務状況の厳しさが基地局増設のペースに影響を与えている可能性も指摘できます。ネットワーク品質は、ブランドイメージと直結するため、この課題の解消が喫緊の課題となっています。

✨ それでも楽天グループ全体は”過去最高売上”の不思議!その戦略的背景

ここまで楽天モバイルの厳しい状況を見てきましたが、楽天グループ全体に目を向けると、興味深い対照的なデータが見えてきます。

楽天グループ全体における2025年度第1四半期の連結売上高は5627億円となり、過去最高を記録した。前年同期比で9.6%の増加であり、インターネットサービス
引用元: 楽天2025年Q1決算 国内ECは堅調、モバイルユーザーの自社EC利用 …

楽天グループ全体の連結売上高が過去最高を記録しているという事実は、「連結純損益が赤字」という前述の状況との間で、一見すると矛盾しているように見えます。しかし、これは楽天グループが持つ「楽天経済圏」の強みと、事業ポートフォリオの多様性を示しています。

この過去最高の売上を牽引しているのは、主に「インターネットサービス」、特に国内EC(Eコマース)事業の堅調さです。楽天市場をはじめとするECプラットフォームは、収益性の高いマーケットプレイス型ビジネスモデルであり、手数料収入や広告収入、決済サービスとの連携などにより安定した収益を生み出しています。

楽天モバイル事業は、この「楽天経済圏」をさらに強化するための戦略的な位置づけを持っています。モバイルユーザーが楽天市場や楽天カード、楽天銀行などの自社サービスを利用することで、クロスセル効果が生まれ、グループ全体のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めることを目指しています。モバイル契約を通じて顧客接点を増やし、グループ内の他の高収益事業への送客を図ることで、結果的にグループ全体の売上を押し上げている側面があるのです。

つまり、楽天グループは、モバイル事業という巨額の「先行投資」を抱えながらも、他の堅調なインターネットサービス事業がそれをカバーし、グループ全体の売上を伸ばしているという、非常に複雑な事業構造と財務戦略を展開していると言えるでしょう。このモバイル事業の赤字は、単なる損失ではなく、経済圏全体の成長を加速させるための「戦略的投資」と位置づけられていると考えられます。しかし、この投資がいつ、どのように回収され、グループ全体の収益性向上に繋がるのかが、今後の最大の焦点となります。

🚀 まとめ:楽天モバイルの「本当の姿」と、これからの展望

ここまで、楽天モバイル、そして楽天グループの最新の決算情報を深く掘り下げてきました。改めて、楽天モバイルの「本当の姿」は、表面的な「絶好調」という言葉だけでは捉えきれない、多層的な課題と戦略的意図が絡み合った複雑な状況にあることが見えてきます。

  • 財務面: 2024年度の楽天グループは連結黒字化、楽天モバイルもEBITDAベースでの単月黒字を達成しましたが、これは一時的な事業の稼ぐ力の回復を示すものに過ぎません。2025年1~9月期連結決算では、グループ全体で1512億円の純損益赤字を計上し、携帯電話事業がその主要因となり、赤字幅は依然として拡大しています。巨額の減価償却費と利払い費用が純損益を圧迫し続ける構造は変わっていません。
  • 事業成長面: 楽天モバイルの「年内1000万契約」目標達成は厳しく、市場の飽和と競争激化の中で、新規顧客獲得のハードルは高まっています。
  • サービス品質面: 基地局増設の遅れという課題は、ネットワークカバレッジと品質に直結し、顧客体験と今後の成長を阻害する要因となっています。
  • グループ戦略: しかし、楽天グループ全体の連結売上高は過去最高を記録しており、主にEC事業などのインターネットサービスが好調を維持しています。楽天モバイルは、この楽天経済圏を強化するための戦略的な位置づけにあり、グループ全体のLTV向上とクロスセル促進に貢献しています。

楽天モバイル事業は、巨額の赤字を計上しながらも、楽天グループ全体の戦略において重要な「先行投資」としての役割を担っています。しかし、その投資がいつ、どのようにして回収され、純損益レベルでの黒字化と、グループ全体の持続的な成長に貢献するのかは、依然として大きな課題です。ARPU(顧客単価)の向上、さらなるコスト構造改革、ローミング費用の削減、そしてユーザー体験の抜本的な改善が不可欠です。

楽天モバイルがMNOとしての事業基盤を確立し、本当にグループを牽引する収益源となる日は来るのでしょうか。そして、その過程で、楽天グループ全体がどのように財務的なバランスを保ち、成長戦略を遂行していくのか。今後の楽天グループの動向は、単一企業のパフォーマンスを超え、日本の通信業界の構造変化、そしてECとフィンテックが融合した「経済圏」モデルの持続可能性を示す試金石として、ますます目が離せないでしょう。

私たちは、表面的なニュースや数字に惑わされることなく、その背景にある戦略、財務構造、そして市場環境を深く分析することで、より本質的な「真実」を理解し、賢明な判断を下すことができるはずです。

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