先日アップした記事「【ゲーム雑談】告知には欠かせないゲームの「トレーラー」、好きなトレーラー・印象に残っているトレーラーや過去のCM映像は？」には、本当にたくさんの熱いコメントをいただき、ありがとうございました！皆さんのゲーム愛、しっかりと受け止めました！
さて、今回は皆さんから特に反響の大きかったコメントの中から、[エレクトロニック・アーツ]が2019年にリリースしたアクションRPG『Anthem（アンセム）』のトレーラーをピックアップし、その魅力と当時の期待、そして現在に至るまでの道のりを深掘りしていきます。
【本記事の結論】
『Anthem』のトレーラーは、ゲーム開発の壮大なビジョンと、それを実現する上での複雑な現実、特にGames as a Service (GaaS) モデルの挑戦を象徴的に示しています。それは単なる宣伝映像ではなく、ゲーム産業における「夢と現実の乖離」という普遍的なテーマを語る貴重な資料であり、その教訓は今日のゲーム開発にも深い示唆を与え続けています。この壮大なトレーラーが描いた「夢」と、その後の「現実」が織りなす物語を詳細に分析することで、ゲーム開発の複雑な側面と、プレイヤーコミュニティの期待値マネジメントの重要性を浮き彫りにします。
さあ、皆さんも一緒に、あの「Anthem」の世界へ飛び込み、記憶の旅に出かけましょう！
期待と注目を集めた『Anthem』のトレーラーを深掘り！
1. 「フリーランサー」が駆け抜ける壮大な世界！BioWareが描いた『Anthem』の基本情報とGaaSへの挑戦
『Anthem』は、カナダの有名開発スタジオBioWareが手掛けたオンラインマルチプレイ専用のアクションRPGです。BioWareといえば、『Mass Effect』シリーズや『Dragon Age』シリーズなど、重厚なストーリーと世界観、プレイヤーの選択が物語に影響を与えるRPG体験で定評のあるスタジオとして知られています。
本作が発表された際、BioWareが手掛ける新作というだけで、世界中のゲーマーから大きな注目を集めました。しかし、これまでのシングルプレイを主軸とした壮大なRPGとは一線を画し、オンラインマルチプレイを前面に押し出した「Games as a Service (GaaS)」モデルを採用したことは、当時のゲーム業界のトレンドとBioWareの新たな挑戦として注目されました。
「EAのBioWareスタジオが贈る新作タイトル「Anthem」。聞いたこともない時代の、見たこともない土地を冒険しよう。」
引用元: Anthem – ゲームプレイトレーラー – EA公式サイト
この引用は、BioWareが既存のIP（知的財産）に縛られず、全く新しい世界観を創造しようとした意欲を示しています。GaaSモデルにおいて、プレイヤーを長期にわたって惹きつけ続けるためには、強固な世界観とユニークなゲームプレイが不可欠です。プレイヤーは「フリーランサー」となり、「ジャベリン」と呼ばれる強化スーツを身につけて、広大なオープンワールドを冒険します。このジャベリンスーツのデザインと機能性は、本作の最大の魅力の一つでした。飛行、水中探索、そしてド派手な戦闘アクションが一体となり、陸・海・空を縦横無尽に駆け巡るという、まさに「パワードスーツで陸海空を駆け巡るオープンワールドシューター」という表現がぴったりなコンセプトでした。
GaaSモデルは、ゲーム発売後も継続的なコンテンツアップデートやイベントを通じて収益を上げ続けるビジネスモデルであり、プレイヤーにとっても常に新しい体験が提供されるというメリットがあります。しかし、同時に初期コンテンツの品質、バグの少なさ、安定したサーバー環境、そして何よりも飽きさせないためのロードマップが厳しく問われるモデルでもあります。BioWareがこのGaaSの波に乗り、彼らならではのストーリーテリングとGaaSの融合をどのように実現するのか、多くの期待が寄せられていました。
2. トレーラーが映し出した「自由」と「興奮」：圧倒的なビジュアルと飛行アクションが描いた「垂直スライス」の夢
『Anthem』のトレーラーが公開された当初、多くのゲーマーの度肝を抜いたのは、やはりその圧倒的なビジュアルと革新的な飛行アクションでした。YouTubeには「Anthem Official Trailers」というプレイリストも用意され、様々な角度からゲームの魅力を伝えていました。
「パワードスーツで陸海空を駆け巡るオープンワールドシューター『Anthem』の日本語版トレーラー2本公開」
引用元: パワードスーツで陸海空を駆け巡るオープンワールドシューター… – fpsjp.net
このフレーズは、ゲームの核となる体験を端的に表現しています。特に、ジャベリンが空を滑るように飛び回り、急降下して敵を攻撃する姿は、当時のゲームにおいて非常に新鮮で、多くのプレイヤーに「こんな自由度の高いゲームを遊びたい！」という衝動を与えました。ゲーム業界では、こうしたトレーラー映像は、通常「バーティカルスライス（Vertical Slice）」、つまり開発中のゲームの特定の部分を切り取り、最高の品質で完成品のように見せる手法が用いられます。これは技術的な可能性とゲームの理想形を示すものであり、期待値を最大限に高める効果があります。
2018年に開催されたイベント「EA Play」では、このゲームのプレイデモが行われ、4人のプレイヤーがド派手な戦いを繰り広げる様子が公開されました。
「EAはプレス・ユーザー向けプライベートイベント「EA Play」において、アクションRPG「Anthem」のプレイデモを行なった。4人のプレーヤーが参加し、ド派手な戦いを繰り広げる非常に見応えのあるものとなった。」
引用元: ロボ好きをぞくぞくさせずにはいられない「Anthem」の魅力… – game.watch.impress.co.jp
このデモンストレーションは、単なる映像ではなく、実際のゲームプレイが可能なレベルであることを示唆し、観客の期待を一層高めました。EA Playでは、新トレーラーだけでなく、「5つの新情報」がお披露目される予定だと発表されており、発売を待ち望むファンの期待は最高潮に達しました。こうしたイベントでの綿密な情報公開は、GaaSモデルのゲームにとって、コミュニティを早期に形成し、エンゲージメントを高める上で極めて重要です。
補足：EA Playとサブスクリプション戦略
実は、EAのサブスクリプションサービス「EA Play」経由では、ゲーム内で使えるボーナス化粧品などの特典があったとの言及もあります。
「例えば、AnthemにはEA Play経由でいくつかのボーナス化粧品がありました」
引用元: BF6のダウンロードとアカウントに関する質問 : r/Battlefield
これは、発売前からGaaSモデルにおける収益化戦略と、EAのエコシステム（EA Playサブスクリプション）との連携が強く意識されていたことを示唆します。ボーナス化粧品は、ゲーム内でのカスタマイズを促進し、長期的なエンゲージメントと収益機会を創出する初期段階のアプローチでした。しかし、このような追加コンテンツの提供は、ゲーム本体の基本的な面白さや安定性が前提にあって初めて効果を発揮します。トレーラーが描いた「夢」をどのように「現実」のプレイ体験に落とし込むか、という点が、GaaSの成功の鍵を握っていたのです。
3. 映画監督ニール・ブロムカンプが描いた『Anthem』の世界：ショートフィルム『Conviction』によるIP拡張戦略
皆さん、『第9地区』や『エリジウム』といったSF映画をご存知ですか？それらの監督を務めたニール・ブロムカンプ氏が、『Anthem』のショートフィルム『Conviction』を手がけていたことはご存知でしたか？
ゲームの公式トレーラーとは別に、世界観を深く掘り下げた実写短編映画が制作されるというのは、当時の『Anthem』への期待の高さ、そしてプロジェクトの壮大さを示す、まさに「へぇ！そうなんだ！」な情報ですよね。これは単なるプロモーションの域を超え、ゲームIP（知的財産）を多角的に展開し、ブランド価値を高めるための「メディアミックス戦略」の一環と考えることができます。
ニール・ブロムカンプ監督は、そのリアリスティックなSF描写と、社会的なテーマを織り交ぜる手腕で知られています。『Conviction』では、ゲーム本編の壮大なアクションの裏側にある、フリーランサーたちの過酷な日常や、彼らが生きる世界の厳しさを、ゲームエンジン内ではなく、実写ならではの説得力で描きました。これにより、プレイヤーはゲーム本編のキャラクターや世界に対して、より深い感情移入をすることが期待されました。映画監督を起用し、ゲームの世界観を補完する映像作品を制作することは、IPの奥行きを深め、コアファン以外の層にもアピールする上で有効な手段です。これは、ゲームが単なる遊び道具ではなく、物語や世界観を体験する総合的なエンターテイメントへと進化している現代において、特に重要な戦略の一つと言えます。しかし、このような外堀を固める戦略も、最終的にはゲーム本体の品質と持続的な面白さに支えられてこそ、真の成功を収めることができます。
4. 期待と、その先の「サービス終了」という現実：GaaSモデルの試練と教訓
『Anthem』はリリース当初、そのグラフィックと飛行アクションで大きな注目を集め、高い評価を受けました。しかし、ゲームのローンチ後は、コンテンツ不足、繰り返しの多いミッション、長すぎるロード時間、数々のバグ、そして期待されたBioWareらしいストーリーテリングの欠如といった多くの問題点が指摘され、プレイヤーの評価は芳しくないものとなりました。そして、本日、2025年11月8日からすると、サービス終了まで残りわずか、2026年1月12日をもってオンラインサービスを終了することが告知されています。
「正式にオンラインサービスが2026/1/12で終了することが告知されています。」
[引用元: 提供情報より] (注: 元記事にはURLが明記されていないため、提供情報よりと記載)
このサービス終了の告知は、発売前の壮大なトレーラーを見てゲームに大きな期待を寄せ、実際にプレイした多くのフリーランサーたちにとって、寂しさを感じずにはいられない現実です。これは、GaaSモデルのゲームが直面する厳しい現実を象徴する出来事と言えるでしょう。GaaSは、プレイヤーに継続的な体験を提供する一方で、開発・運営側には絶え間ないコンテンツ供給と品質維持の義務が伴います。初期の期待値が高ければ高いほど、その後のコンテンツやサービスの質が伴わなかった場合の失望も大きくなります。
『Anthem』の場合、ローンチ後の改善を目指し、「Anthem Next」という大規模な改修プロジェクトも立ち上げられました。これは、ゲームの根本的なシステムやコンテンツをゼロから見直し、プレイヤーのフィードバックに基づいて再構築するという、非常に意欲的な試みでした。しかし、開発チームの再編や技術的な課題、そして投資対効果の観点から、最終的にはこのプロジェクトも頓挫し、サービス終了に至りました。この経緯は、GaaSモデルのゲーム開発がいかに複雑で、多大なリソースと長期的なビジョンが必要であるかを物語っています。
しかし、これは決して『Anthem』だけに限った話ではありません。オンラインゲームの世界では、期待と成功、そしてサービス終了というサイクルが常に繰り返されています。だからこそ、私たちは過去のトレーラーやゲームプレイ映像を振り返り、そのゲームが提供しようとした体験や、当時の熱狂を追体験することに価値があるのだと思います。そして、『Anthem』の経験は、後続のGaaSタイトル開発者たちにとって、期待値マネジメント、ローンチ後のコンテンツ計画、そしてプレイヤーコミュニティとの対話の重要性を示す貴重な教訓となりました。
豆知識：同名異義の「Anthem」
ちなみに、「Anthem」という名前は他のゲームタイトルでも使われることがあります。例えば、『Apex Legends: Prodigy Anthem Trailer』というものや、最近では2025年7月に新しいゲームプレイトレーラーが公開された『ANTHEM#9』というタイトルも存在します。今回の記事はBioWareの『Anthem』に焦点を当てていますが、検索する際は少し注意が必要かもしれませんね。これは、ゲームタイトルにおけるネーミングの一般的な課題、すなわち、どのようにして特定のIPを識別し、ブランディングを確立するか、という点を示唆しています。
終わりに：トレーラーが語りかける「ゲームの物語」と未来への教訓
『Anthem』のトレーラーを改めて見てみると、当時の開発チームが目指したビジョン、プレイヤーに届けたかった興奮がひしひしと伝わってきます。それは、まるで「ゲームという物語の序章」を凝縮したような映像美でした。トレーラーは、単なるプロモーション映像ではなく、開発者の情熱、ゲームの世界観、そしてプレイヤーが体験するであろう感動を、短い時間で最大限に伝えるためのアートです。
本記事の冒頭で述べたように、『Anthem』のトレーラーは、ゲーム開発における「夢と現実の乖離」という普遍的なテーマを語る貴重な資料です。トレーラーが描いた「夢」は、テクノロジーの進化とクリエイティブな発想の限界に挑戦する、ゲーム産業の輝かしい一面を映し出していました。しかし、その後の「現実」は、GaaSモデルの持つビジネス的・技術的複雑さ、そしてプレイヤーの期待値を維持することの困難さを浮き彫りにしました。
この『Anthem』の物語は、今日のゲーム開発者、特にGaaSタイトルを手がけるスタジオにとって、多くの重要な教訓を残しています。それは、壮大なビジョンや魅力的なトレーラーだけでなく、強固な基礎となるゲームプレイ、持続可能なコンテンツロードマップ、そして何よりもプレイヤーコミュニティとの誠実な対話が、長期的な成功には不可欠であるという事実です。
ゲームの「物語」は、トレーラーから始まり、プレイヤーの手元に届き、そしてサービス終了に至るまで続きます。『Anthem』のトレーラーは、私たちに「夢を見させてくれた」という点において、間違いなく印象深い作品の一つです。もしこの記事を読んで、久しぶりに『Anthem』のトレーラーを見返したくなった方がいれば、ぜひYouTubeなどで検索してみてください。そして、当時の熱い気持ちを思い出したり、あるいはゲーム開発の複雑な側面について新たな発見をしたりする時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも、皆さんの心に残るゲーム作品のトレーラーを一緒に振り返り、その裏にあるゲーム産業の奥深さを探求していきましょう！
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