無免許事故「クルド人不起訴」は誤解？

無免許運転事故で2歳児重体！「クルド人だから不起訴」は絶対にありえない！背景にある誤解と法的根拠を徹底解説

この記事の結論： 東北道で発生した痛ましい事故において、「クルド人だから不起訴になる」という言説は全くの誤りです。日本の法律は全ての人に平等に適用され、民族や国籍によって司法判断が左右されることはありません。本記事では、この誤解が生じた背景を分析し、無免許運転の罪の重さ、不起訴となる可能性、そして緊急避難という例外まで、法的根拠に基づき徹底的に解説します。

1. 事故の概要と「クルド人」情報の拡散：誤解の温床

2025年9月13日午後7時40分頃、栃木県鹿沼市の東北自動車道下り線で、単独事故を起こして追い越し車線に停車していた乗用車に、後続車が追突するという痛ましい事故が発生しました。引用元: 東北道の追い越し車線に車を止めて追突事故、２歳児重体…無免許運転の疑いでトルコ国籍の男逮捕

この事故により、後続車に乗っていた親子3人が病院に搬送され、特に2歳の男の子が頭を強く打ち、意識不明の重体という深刻な状況に陥っています。衷心より、一日も早い回復をお祈り申し上げます。

警察は、最初に単独事故を起こした車を運転していたトルコ国籍の男を、無免許運転などの疑いで逮捕しました。引用元: 栃木東北道事故起こし逃走したかトルコ国籍の容疑者逮捕｜NHK 栃木県のニュース

しかし、この事件に関して、容疑者が「クルド人」であるという情報が一部で拡散されています。この情報の拡散は、トルコ国内に多数のクルド人が居住していること、そして過去にクルド人に関連する社会問題が報道されたことが影響していると考えられます。重要なのは、国籍と民族は必ずしも一致しないという点です。現時点では、容疑者がクルド人であるという公式な情報は確認されていません。 このような不確かな情報に基づいて特定の民族集団に対する偏見を煽ることは、断じて許されるべきではありません。

2. 無免許運転の法的責任：刑事責任と民事責任

無免許運転は、道路交通法第64条に違反する犯罪行為です。

罰則: 道路交通法第117条の4に基づき、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

さらに、無免許運転で事故を起こした場合、刑事責任だけでなく、民事責任も問われます。

刑事責任: 上述の懲役刑や罰金刑に加え、事故の状況によっては自動車運転処罰法違反（過失運転致死傷罪など）に問われる可能性もあります。
民事責任: 被害者に対する損害賠償責任が生じます。これには、治療費、慰謝料、逸失利益、車の修理代などが含まれます。被害者の後遺障害が残った場合や、死亡した場合、賠償額は数千万円、あるいは数億円に及ぶこともあります。

特に、今回の事故のように、2歳児が意識不明の重体という重大な結果が発生している場合、加害者の責任は非常に重く、厳罰が科される可能性が高いと言えるでしょう。

3. 起訴・不起訴の判断基準：重大事故における不起訴の可能性

原則として、無免許運転で事故を起こした場合、起訴される可能性は極めて高いです。日本の刑事訴訟法では、検察官は、犯罪の嫌疑が十分であり、かつ訴追の必要性があると判断した場合に起訴を行います。無免許運転は明白な違法行為であり、さらに事故が発生し、重大な結果を招いていることから、訴追の必要性は高いと判断されるでしょう。

しかし、例外的に不起訴となるケースも存在します。不起訴処分は、検察官の裁量によって決定され、主に以下の理由が挙げられます。

嫌疑不十分: 証拠が不十分で、犯罪事実を立証できない場合。
起訴猶予: 犯罪事実は認められるものの、加害者の情状、被害者の処罰感情、事件後の状況などを考慮し、あえて起訴しない場合。
告訴・告発の取り下げ: 親告罪の場合、告訴が取り下げられると起訴できません。

ただし、今回の事故のように、2歳児が意識不明の重体という重大な結果が発生している場合、被害者の処罰感情は極めて強いと考えられ、加害者が深く反省し、被害者への十分な賠償を行ったとしても、不起訴となる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

4. 「クルド人だから不起訴」は絶対にあり得ない：法の下の平等

結論を改めて強調しますが、「クルド人だから不起訴になる」ということは絶対にありえません！ これは断言できます。

日本の憲法第14条は、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定めています。この原則は、司法判断においても厳格に遵守されなければなりません。

検察官は、証拠、被害状況、加害者の情状などを総合的に判断して起訴・不起訴を決定します。人種、民族、国籍などの属性によって判断が左右されることは決してありません。そのような判断は、法の下の平等を定めた憲法に違反するだけでなく、司法に対する国民の信頼を大きく損なう行為です。

過去には、白タク行為で書類送検された中国籍の男性が不起訴になった事例もありますが、これは個別の事情によるものであり、国籍が理由ではありません。引用元: “白タク”疑いで書類送検の中国籍の男性を不起訴東京地検 | TBS NEWS DIG この事例も、道路運送法違反という犯罪事実があったものの、東京地検が様々な事情を総合的に判断した結果、起訴猶予という処分を選択したに過ぎません。

5. 緊急避難：無免許運転が正当化される極めて稀なケース

道路交通法第76条には、「緊急やむを得ない場合」に無免許運転が許容される可能性がある「緊急避難」の規定があります。 (例：Aさんが交通違反を繰り返し免許取り消しとなっていたとします。ある晩、Aさんの子供（1歳）が高熱を出し意識不明となったため、Aさんは自家用車に子供を病院へ連れて行った。)引用元: 無免許運転と緊急避難 | 交通事故・交通違反でお困りの方は24時間 …

緊急避難とは、自己または他人の生命、身体、自由、財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ず他人の権利を侵害する行為を指します。この場合、無免許運転は、より重要な法益（生命の保護）を守るための必要最小限の行為として、違法性が阻却される可能性があります。

ただし、緊急避難が認められるためには、以下の厳格な要件を満たす必要があります。