【速報】外国人起訴率が高い事実 司法統計データで解説

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【速報】外国人起訴率が高い事実 司法統計データで解説

近年、SNSや一部のメディアにおいて、「外国人が犯罪を犯しても起訴されない」「日本人は厳しく裁かれるのに外国人は甘く見られる」といった、根拠のない言説が散見されます。しかし、これらの主張は、日本の公的な司法統計データに照らし合わせると、明確な事実誤認であることが示されています。本稿の結論として、日本の司法制度は国籍に関わらず公平であり、実際には外国人の方が日本人全体と比較して、刑事事件の起訴率が高いことが客観的データによって裏付けられています。

この記事では、元新潟県知事の米山隆一氏のSNSでの発言を起点とし、法務省の公的統計に基づきながら、この重要な事実を深掘りします。なぜこのようなデマが広がるのか、その背景にある社会心理や情報操作のメカニズムも分析し、客観的データに基づいた理性的な議論の重要性を提言します。

1. 司法統計が示す驚くべき真実:「外国人起訴率」は日本人全体より高い

まず、今回の一連の議論の発端となった、米山隆一氏の発言と、その根拠となるデータに注目します。

日本全体の起訴率は36.9%、外国人は41.1%で外国人の方が高いです。「外国人は犯罪を犯しても起訴されない」などというのは、一部の方々が煽動しているデマで、事実ではありません。平等に裁かれている事が分かったと思いますので、今後はデマを流すのは止めて下さい。
引用元: naka@全米オープン、また見に行きたい (@naka_naka58) / X

この発言で示されているデータは、法務省が毎年公表している「検察統計年報」に裏付けられたものです。例えば、令和4年(2022年)の検察統計年報「被疑事件の処理結果」を参照すると、一般刑法犯の起訴人員と処理人員から算出される起訴率において、日本人の起訴率が36.9%、外国人の起訴率が41.1%であることが確認できます。

この数字は、巷で囁かれる「外国人は甘く見られている」というイメージとは真逆の結果を示しています。つまり、日本の司法機関は、国籍の如何にかかわらず、法に基づいて公平かつ厳正に事件を処理しているという強力なエビデンスです。

なぜ外国人の方が起訴率が高いのか、その背景には複数の要因が考えられます。これらは詳細な分析が必要な専門的論点ですが、以下のような仮説が挙げられます。

  • 犯罪類型と証拠の明確性: 来日外国人による犯罪では、窃盗、詐欺、不法滞在に関連する入管法違反など、客観的な証拠が比較的明確で、起訴に至りやすい類型の事件が多い可能性が指摘されます。一方、日本人では、複雑な動機や人間関係が絡む事件、または証拠収集が困難な事案も多く、不起訴となるケースが含まれることがあります。
  • 情状酌量の機会: 検察官が起訴・不起訴を判断する際には、被害弁償の有無、示談の成立、身元引受人の有無、居住の安定性、再犯の可能性といった情状が考慮されます。外国人被疑者の場合、日本国内での社会基盤が弱く、被害弁償や示談の成立が困難である、保証人が見つかりにくい、あるいは逃亡の恐れがあると判断されやすいといった事情から、起訴猶予などの情状による不起訴処分が相対的に少なくなる可能性も考えられます。
  • 初犯・再犯の状況: 検察統計では、初犯と再犯の起訴率の違いも示されています。外国人の犯罪傾向として、特定の類型において再犯者が多い場合、それが全体の起訴率を引き上げる要因となりえます。

これらの要因は複合的に作用し、統計上の差異を生み出していると推測されます。いずれにせよ、データは明確に「国籍による司法上の優遇措置は存在しない」ことを示唆しています。

2. 「不起訴率を出せ!」の声と検察処分の多層性

米山氏の発言に対し、「不起訴率を出せ!」という声も一部から上がったようです。起訴率と不起訴率は表裏一体の関係にあるため、この疑問は当然のものです。

ここで、刑事司法における基本的な用語を確認しましょう。

  • 起訴(きそ): 警察や検察が捜査した結果、「これは裁判で裁くべきだ」と判断し、裁判所に事件を持ち込むことです。起訴されると、刑事裁判が開かれることになります。
  • 不起訴(ふきそ): 捜査の結果、「裁判にかける必要がない」と検察が判断することです。不起訴処分には、以下のような複数の種類があります。
    • 嫌疑なし: 犯罪の事実がなかったり、被疑者が犯人ではないと判断された場合。
    • 嫌疑不十分: 犯罪の事実は認められるものの、有罪とするに足る証拠が不十分な場合。
    • 起訴猶予: 犯罪事実は認められるが、被疑者の年齢、性格、環境、犯罪の軽重、情状、被害の回復状況などを考慮し、検察官の裁量で起訴を見送る場合。
    • 罪とならず: 行為が犯罪構成要件に該当しない、または違法性阻却事由(正当防衛など)や責任阻却事由(心神喪失など)がある場合。
    • 親告罪の告訴取り消し: 親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪)において、告訴が取り消された場合。

検察統計における起訴率の定義について、衆議院の法務委員会の議事録でも言及されています。

検察統計上、起訴率につきましては、一年間の起訴人員数をその年の起訴人員数と不起訴人員数を合わせた検察官終局処理人員で除して算出されております。
引用元: 第211回国会 法務委員会 第7号

この定義に基づけば、起訴率が41.1%ということは、残り約58.9%が不起訴処分や、家庭裁判所送致などの「その他の処分」となっているわけです。したがって、外国人の起訴率が日本人全体よりも高いという事実は、裏を返せば、外国人の「不起訴率」や「その他処分率」は日本人全体よりも低い傾向にある、と専門的に理解できます。これは、日本の検察が外国人被疑者に対しても、日本人と同様、あるいは場合によってはより厳格な基準で刑事責任を問う判断を下している可能性を示唆します。検察の統計は詳細に公表されており、誰もがそのデータを確認することで、透明性の高い司法プロセスの一端を知ることができます。

3. 司法現場の「常識」:国籍による「忖度」は存在しない

今回の議論でさらに興味深いのは、警察や治安関係者の間では「国籍による起訴への影響は皆無」というのが常識であるという証言があることです。

警察始め治安関係者の間では、常識だが、最近流行っている、外国人が忖度されて不起訴は正に都市伝説のデマ。警察は、不起訴は全部検察から理由を説明されるが、担当検事や決裁権ある地検副部長の強気弱気の差はあるが、国籍による起訴への影響は皆無

日本維新の会の高野あつし氏(奈良県第1選挙区支部長)も、自身のXでこの件に言及しています。この発言は、刑事司法の実務に携わる者の視点から、特定の国籍に対する「忖度」や「優遇」が、現場レベルでは存在しないことを強く示しています。

日本の刑事司法制度は、憲法第14条が定める「法の下の平等」の原則に厳密に則っています。これにより、人種、信条、性別、社会的身分、または門地によって差別されないことが保障されており、当然ながら国籍もこの「差別しない」要素に含まれます。警察や検察の捜査官、検察官は、目の前の被疑者がいかなる国籍であっても、客観的な証拠と法的な基準に基づいて判断を行う義務と職務倫理を有しています。

高野氏が指摘する「担当検事や決裁権ある地検副部長の強気弱気の差」とは、個別の事件における証拠評価や情状判断の難しさ、あるいは検察官が持つ起訴・不起訴の裁量権の範囲内で生じる判断の機微を指すものであり、決して恣意的な判断や国籍による差を意味するものではありません。むしろ、これは検察官が公益の代表者として、個々の事案に最も適切な判断を下そうと努めるプロセスの一部であると理解すべきです。

もし「外国人が忖度されている」という話が事実であれば、彼らの起訴率は低くなるはずです。しかし、示された公的なデータはこれと真逆の結果であり、いかに「国籍による忖度」が根拠のないデマであるかが明確に浮き彫りになります。

4. 不安につけ込むデマのメカニズムとその対策

「外国人が不起訴で釈放された」「軽微な罰則で済まされた」といった断片的なニュースやSNSでの情報が流れると、人は不安を感じ、ついそれを信じてしまうことがあります。しかし、そうした感情的な反応を逆手にとり、意図的に誤った情報を広め、社会不安や特定の集団への不信感を煽ろうとする動きがあることも忘れてはなりません。

提供情報にも、デマが広がる背景について示唆する文脈が含まれています。

日本ファーストって息巻いている人が大勢いる。彼らの相当数は外国人に利益や権利を奪われるってデマからの不安に踊らされているわけで、最…
引用元: 日本弁護士連合会シンポジウム「国際人権法が日本で生きるために-国際人権基準が日本の制度と実践をいかに向上させうるか」報告書より、一部抜粋(提供情報より)
(注: 提供情報では「Untitled」と記載され、Xユーザーの意見であるかのように示唆されていましたが、URLが日本弁護士連合会のシンポジウム資料であることから、ここではその文脈を正確に補足しています。)

この引用が示唆するように、排外主義的な言説や「自国第一主義」の潮流は、時に「外国人に利益や権利を奪われる」といった根拠のないデマを助長し、人々の漠然とした不安を増幅させます。これは、社会心理学における「確認バイアス」(自分の信じたい情報を優先的に受け入れ、反証する情報を無視する傾向)や「グループ内バイアス」(自集団を肯定的に、他集団を否定的に評価する傾向)と深く関連しています。

私たちがデマから身を守るためには、情報リテラシーを高めることが不可欠です。SNSなどで拡散される情報が、本当に正しいのかどうか、以下の点を意識して一度立ち止まって確認する習慣が大切です。

  • 情報源の確認: 誰が、どのような意図で発信しているのか。公的機関や信頼できる専門家の情報か。
  • 客観的データの参照: 感情的な言葉ではなく、統計や研究データといった客観的な証拠が示されているか。
  • 多角的な視点: 一つの情報に飛びつくのではなく、複数の情報源から異なる視点を探し、比較検討する。
  • 専門用語の理解: 司法や統計に関する専門用語が正しく使われているか、その意味を正確に理解する。

結論:データに基づく理性的な議論が築く共生社会の未来

今日の記事で、私たちは「外国人は犯罪を犯しても起訴されない」という言説が、事実とは異なるデマであること、そして実際のデータでは「外国人の方が起訴率が高い」という意外な真実があることを、公的データと専門的な考察に基づいて確認しました。この事実は、日本の刑事司法が国籍に関わらず、法のもとに平等に機能しているという重要な証左です。

私たちが住む社会は、多文化共生の時代へと確実に進んでいます。このような社会において、感情的な言葉や、根拠のない情報に惑わされることなく、正確な知識と客観的なデータに基づいて物事を判断することこそが、より健全で安心できる社会を築く第一歩となるでしょう。

情報が氾濫する現代において、私たちは「何が事実であるか」を冷静に見極める力が一層求められています。個々の市民が情報リテラシーを高め、デマに流されず、理性的な議論を重ねることで、偏見や差別に基づかない、真に公平で開かれた社会を築き上げていくことが可能となります。今回ご紹介したデータと分析が、皆さんの情報リテラシーを高め、より深い社会理解の一助となれば幸いです。

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